0.


事前にタブレットを家に持って帰り、調査させる。


調査項目

複数車がある場合もどれか1台のみにする


・メーカー

・その車に決めた最大の理由(1つ)

・車の写真を撮っておく



1.スライド1(小さい)うまくダウンロードができない場合はコチラをご覧ください。

●工業には大きく分けて5つの仲間とその他に分けられたよね?(復習)

   ⇒機械・化学・食料品・せんい・金属


●日本の工業の内訳はこんな感じ!この資料から何が分かる?

      昔はせんい工業が中心だったが、今は機械工業が中心になっている。


●日本の工業の中心が「機械工業」。その機械工業の中心は何だと思う?

   ⇒自動車産業


・これから、工業の中でも、日本の工業の中心=自動車工業について学習していきます。

(それに向けて、おうちの人にインタビューしてきてもらったよね。)


         ↓


<私たちのおうちの人はどのような車選びをしているのかな?>


・調べてきたことを公開(メーカー[色で識別]・車種(写真と共に)・それに決めた最大の理由)

1

・共通点や疑問点を各自ノートで考えた後、交流

 ※ここにあまり時間はかけない。以下のことがわかればOK

   ⇒共通点としては、大きな車(たくさん乗れる車)が多いぞ。

    燃費が良い車が多いぞ。



●課題の主語が「お年寄りの人たちは」に変わったら結果はどうなると思う?

   全然違ってくる!

    おばあちゃんたちなら“小さい車”になるはず!

(「なんでそう思うの?」と問い返すと次のことが出てくると思います。)

   家族も少ないし、遠くに行かないから



●なぜ主語が変わると結果が変わるの?

   その人の生活と車は密着しているからだ!


・まとめ

自分たちの家の人たちは大きめの車を買っている。それは、自分達の生活に合わせた車を選んでいるからだ。



●主語が「世界中の人々は」になったらどうなると思う?

  もっとバラバラになるはず!



・世界の様子を見てみよう!⇒[ニュージーランド・サモア・アメリカでの写真]

※NZとサモアの写真は私(たのけん)が撮影したもので、アメリカの写真はシカゴ日本人学校の高橋先生に撮影していただきました。



●不思議に思ったことや気づいたことは?

  外国なのに日本車が多いな!

  日本車が人気なんだな。

  なんで日本車ばっかりなんだろう?

    でも、たまたま映っていないだけかもしれない。


・[世界シェア]を紹介

  1位が日本車だ!



・学習問題(単元を通す課題)は何にする?

≪世界で日本車がなぜ販売台数1位を取れているのかな?≫

・予想(学習の見通し:オクリンクプラスの提出Boxで交流)

 ※「大量生産(量)」の視点と、「ニーズをとらえた車(質)」の視点で分けて板書


・分析(みんなの予想はどんな仲間分けができるかな?)

  たくさん生産する仕組みがあるのでは?  

⇒ どのように「たくさん(速く)」作っているのか(量)


  みんなが欲しがる車を作っているのでは?

   ・より安い車にする                 ・こわれにくい車にする

   ・性能を良くする                     ・燃費の良い車にする   など

⇒ どのように皆が「欲しがる車」を作っているのか(質)


    ⇒ この2つの視点が解決できれば、学習問題は解決できそうだ!


 


●学習を始める前に、みんなは「複数人で1つのものを“速く”作る」という経験はある?

⇒まずは、大工場で働く人々の様に、複数人で“速く”1つの製品を作る体験をしてみよう。

 


どのように「たくさん(速く)」作っているのか


2.(2時間連続で設定)

45分+10分[休憩時間]+45分

 ⇒ 10分[オリエンテーション]+60分[工作]+30分[話し合い]


[オリエンテーション]

<複数人で“速く”作ろうとするとき、どんなことを感じるのだろう?>


・もの作りの一例として「車の製造」を取り上げることを紹介。

・[フェアレディーZペーパークラフト]を班に1セットずつ配布して工作をする。


※2時間目に学習する「1時間で72台の車を作れる」という速さを自覚するためにも実際に1時間でどこまで作れるのかを経験する必要があると考えています。(実際、シャーシができる程度で絶対に1時間では完成しません。1時間はモノづくりをする上ではあっという間の時間なんだなということを実感させることが目的の1つです。)これは子どもに伝える必要はありません。


※この活動のもう1つの目的は、製造工程の理解の補助。(次時の[車の製造工程]の下部にペーパークラフトの工程を書いています。(例:プレス=はさみで切ること)


  (これは子どもに伝える必要はありません)


・以下の2点を子供に伝える


①トイレ休憩は各自で。個人でもいいし、班で時間を区切ってもOK。

②この活動は「図工」ではなく、「社会科」。大事なのは完成させることではなく、“速くものをつくるとき”にどんなことを感じるのかを考えることだということを伝える。だから、完成できなくてもOK。


[工作]

※タイマーで「60分から」カウントダウンする。(時間を意識させるため)


[話し合い]

●結局、複数人で“速く”作ろうとするとき、どんなことを感じましたか?

⇒オクリンクプラスに感想を記入させて提出Boxでシェアをする。


・提出BOXを見ながら、整理する。(ノートに書かせる)


・交流

  「速さ」と「正確さ」を実現させることが難しいんだな。

   (また、ここで「正確さ」と「速さ」の両立は難しいということをしっかり落としておく)

    ※次の時間の課題を作るときに大切な既習になります。

  人と「ペースが合わない」という難しさがあるんだな。

     ⇒これらのことは車を作るプロもきっと同じことを意識しているよねということを確認する


・まとめ

「たくさん(速く)」作るときには、「速さと正確さの両立」や、「みんなのペースを合わせる(チームワーク)」が難しいんだな。工場で働く人々はどのように工夫しているんだろう?



※このときに作り終わったものは、単元が終わるまではこんな風に保管しておくと、「質と量のバランス」の難しさにいつでも立ち返れるので、良いですよ!

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(ある程度組みあがったものはそのまま、切っただけのパーツや作りかけのものは袋に入れる)



 


3.スライド1(小さい)うまくダウンロードができない場合はコチラをご覧ください。


・[車の製造工程]を紹介

●1つの工場で作るのは1時間で何台?(予想させる)

  ・5台 ・10台 ・30台 ・それ以上


・[生産台数(トヨタ)]を提示

  トヨタ、速い!! ということは・・・(故障率高いんじゃない!?※前時の既習から)


・正確さ[故障の少なさランキング]を提示・配布

  おー!!!


●どうした?

   めっちゃ速いのに、壊れてない!!


<トヨタはどうやって「速さ」と「壊れにくさ」を両立させているのかな?>


・予想

 “速さ”へのアプローチ

  人数が多いんじゃないかな

  ロボットを使っているんじゃないかな?


 “正確さ”へのアプローチ

  ロボットをたくさん使ってるんじゃないかな

  最後に点検しているんじゃないかな


・検証([TOYOTA~クルマこどもサイト~ 生産のようす]+[自動車メーカー比較(トヨタとVW)])


  速さ:機械、流れ作業、専用の道具/工具、人数の多さ・・・


  正確さ(壊れにくさ):人間が丁寧にチェック、アンドンの存在


  正確さ(注文どおり):指示ビラ


●結局、トヨタはどのようにして「速さ」と「壊れにくさ」を生み出していると言えばいいのかな?


・まとめ

人と機械をうまく使い分けて、速さと正確さを生み出しているんだな。

 


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・復習

  速く・正確に作るための工夫がたくさんなされていた


●自動車はいくつの部品でできていると思う?

  1台あたり2~3万点以上のパーツが使われている

    多いな!


●みんながペーパークラフトを作っているとき、パーツ、間に合ってた?

  間に合っていない


・ペーパークラフトのパーツの数はたかが147個。(本物はそれの200倍のパーツでできている)でも、本物のトヨタは間に合わせている


・さらに、その部品の多くは自動車工場から注文を受けた”関連工場“で作られているということを伝える


・しかも、作る車はバラバラ!=必要なパーツも違う

2

<別の工場で部品を作っているのに、なぜ組立の速いペースにその部品が間に合うの?>


・予想

①    大工場と関連工場の間の輸送方法に秘密があるのでは(繋がってる/近い/大量輸送 など)

②    大工場と関連工場の連絡の仕方に秘密があるのでは(注文の仕方/時間を決めている など)


・検証(教科書)             https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005310989_00000#in=27&out=197

  注文の順番が工夫されていて、その通りに作っている。

  「かんばん方式」を取り入れているから、分かりやすい。

  組み立て工場の周りに工場を作っている。

    ⇒「ジャスト・イン・タイム」ということを紹介


●「大きな一つの工場のように (p.17最終行)」ってどういうこと?


・密に連絡を取り合って、できるだけコンパクトに協力し合って速い生産速度をみんなで保っているということ。        ※6時間目の布石になります


・できるだけ近くに。


・大きな道路一本で行けるところに。


・まとめ

  関連工場と組立工場が密に連携を取り合い、組立工場の周りに関連工場が建てたりする工夫をしている。そうすることで、「時間」だけでなく、「場所」や「お金」の節約もできる。


 


 


どのように皆が「欲しがる車」を作っているのか(質)


5.スライド1(小さい)うまくダウンロードができない場合はコチラをご覧ください。


・復習

  ●トヨタが自動車を作るときに心がけている2つのことは何だった?

     「速さ」と「壊れにくさ」   ※深めの発問のための布石


・完成した車の輸送は、キャリアカーと輸送船を使っている。


・キャリアカーの行き先は国内。では、輸送船の行き先はどこだと思う?

  海外?

   ⇒ 海外+国内


・国内47都道府県中、どれぐらいの都道府県に船を使っていると思う?

  ちょっとだけ?

   ⇒30/47都道府県 (船+キャリアカーで届ける都道府県も含む)

     →多いな!!!


<海外だけでなく国内に届けるときも、船を使っているのはなぜだろう?>

・一人一人が自分の考えをもち、交流する。

  一気に運べるから。
  輸送コストの問題。

  自動車は1つ1つが大きいから、トラックではかなりの人材と労力が必要なってくるから。

  船のほうが楽。


・検証([キャリアカーと自動車専用船の比較]を配布)

  一度に1000倍近くを運べるからだ。

  費用が5分の1で抑えられるからだ。

   でも、時間がとてもかかってしまっているぞ。


●今まで、「はやく」消費者にとどけるためにいろいろ工夫してきたトヨタなのに、どうして輸送に時間のかかる船を使うんだろう?(輸送に船を使う意味を考える。)

  少しでも値段を安く買いたいという消費者のニーズに応えるため。

    ⇒どのように皆が「欲しがる車」を作っているのかの答えの一つだ!


・まとめ

 「速さ」と「壊れにくさ」以外にも、「安さ」という消費者のニーズにこたえられる車にするため。

 


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復習

 トヨタは消費者のニーズ(安く買いたい)に応えるために、輸送方法を工夫していた。

 国内輸送がキャリアカーと自動車専用船で、海外輸出が自動車専用船

・[導入パワポ(トヨタ自動車輸出先)]を提示。ここから何がわかる?

   色々なところに輸出しているんだな。


・[導入パワポ(トヨタ自動車海外生産拠点)]を提示。ここから何がわかる?

   輸出している先で工場を作っているぞ!?


<なぜトヨタ自動車は海外にも生産工場を建てているの?>


 ・予想

   より早く届けるためじゃないかな

   外国の人から直接ニーズを聴けるようにするためじゃないかな

   輸送の費用を抑えるためじゃないかな


 ・検証(教科書、資料集、[検証用資料])

   現地の人たちのニーズにこたえる自動車をより早くとどけるため。

https://global.toyota/jp/kids/where-are-cars-made/production/

   部品や製品の輸送コスト、人件費をカットできるため、より安く売ることが出来る。

   世界の国の産業を発展させたりすることに貢献するため。

     ※「現地の人により安く、早く届けるための工夫」が現地生産ということをおさえる


 ・海外工場で一番多いのは「アジア」。その中でも中心なのがタイ。生産台数の内訳をみると、「輸出用に生産している」ことがわかる。


 ・タイのトヨタの輸出先ランキング1位~6位を発表

     5位が日本!!


 ●「より早く届ける」為だけではなさそうだね。改めて…<なぜトヨタ自動車は海外にも生産工場を建てているの?> 改めて考えてみよう!

   世界中の人たちに、「より安く」買ってもらえるようにするため。


 ・再検証([ハイラックスの国内産価格とタイからの輸入品の価格]を提示)


 ・まとめ

   現地の人たちのニーズをキャッチして、そのニーズにこたえる自動車をより早く届けるため。

   そして、世界中の人たちに「少しでも安く」買ってもらえるように工夫しているんだな。

 


7.


復習

トヨタは消費者のニーズ(安く買いたい)に応えるために、輸送方法を工夫していた。


・一通り自動車工業について学習してきたが、最初にみんなで作った大きな謎って何だった?

  ⇒≪世界で日本車がなぜ販売台数1位を取れているのかな?≫


・ノートで考える(5分)⇒ 班で話し合い(5分)

  ⇒ オクリンクプラスのカードでまとめる(10分)

    ➤「みんなのボード」と「提出Box」の両方に提出させる  


相互評価の具体的な方法はこちらの記事をご覧ください
オクリンクプラスを使った相互評価の新しい交流方法 ~相互評価・添削のフィードバック・成績処理の3つを授業時間内で完結させる方法~

 


・交流

(相互評価:子どもはみんなのボードでリアクションさせる。教師は提出Boxで評価やコメントを入れてフィードバックする準備をする)


 評価

  質(ニーズをキャッチして、ニーズに合わせた車を作る努力をしている)

    世界中のニーズに応えられる車を作っている(安くて、壊れにくい車)


  作り方の工夫(大量生産するための工夫や努力をしている)

    速く作るためのジャスト・イン・タイム

    関連工場と組み立て工場の連携       など


・まとめ(自分のアイデアと、他の人のまとめ、先生からのフィードバックをもとに考える)

日本車(トヨタ)は「安い」のに「壊れにくい(正確に作られている)」という人々のニーズに合わせた車を大量生産するために自動車生産に関わる人たちが工夫したり努力をしているから世界一を取れているんだ。


 


・[インタビュー映像]で検証

やっぱり、「安くて壊れにくい」というニーズにちゃんと答えているからだ。


 


8.スライド1(小さい)うまくダウンロードができない場合はコチラをご覧ください。


・復習

  日本車は、「ニーズに合わせた車」を「大量生産」しているから世界一を取れているんだ。


・[諸外国の車づくりの方向性]を提示


●日本だけでなく、他の国も「ニーズに合わせた車」を「大量生産」している。(同じ)

  日本:壊れにくさ、安さ  ドイツ:高速性能、快適さ  アメリカ:デカさ、パワー


・この結果から、多くの世界の人々は車に何を求めていると言える?

  「壊れにくいこと」「安いこと」


・これまでは、世界の人々は「壊れにくいこと」「安いこと」を自動車に求めてきた。

  ⇒だから、そのような車を作ってきた。

             ↓

<これからの車作りも「壊れにくさ」「安さ」を大切にしていくべきかな?>(討論)


・考える

  作っていくべき派

   売れるから。

   日本の工業を支えているのは自動車産業。みんなが求める物を作っていくべき


  変わるべき派

   環境に配慮したものを(反論:壊れにくいということはゴミになりにくいということ)

   「壊れにくい」「安い」を前提として、「人にやさしい車」を作っていくべき   など


・[途上国における中古日本車の役割と課題…(サモアレポート)]を配布


 どれだけボロボロになっても走れる(壊れにくい)からこそ、貧しい国の人々も車を使うことができる。でも車が壊れたときの処分を貧しい国に押し付ける形になっているんだな。


 これからは、車が壊れた後のことも考えていく必要があるんだな。


 貧しい国の人たちのことも考えたモノづくりをしていく必要もあるんだな。


※SDGsの「作る責任」を紹介

※あくまでもサモアに行った私個人の見解なので、「これが“正解”」という理解にならないように一言添える。


・まとめ

  個人個人の感想を「まとめ」として書かせる。


 


 

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