1.
●日本に来た外国人をおもてなしするための料理、何にする?(オクリンク)
共通点を洗い出す
刺身とか、寿司とか、魚が多いな
・[外国人が喜ぶ日本食]と海外メディアが「日本で食べた刺身を帰国してマネしないように」という記事を出した事実を紹介
●この二つの資料を見て感じることは?
やっぱり日本の魚はおいしいんだな。
日本の魚って安全なんだな。
≪なぜ日本の魚は安全でおいしいのかな!?≫
・予想(オクリンク)
(漁場と漁法、保存方法、輸送方法などに分けて板書 ※この時点ではカテゴライズを明記しない)
※販売方法が出てきた場合は
“これはスーパーマーケットの学習だから5年では扱わないよ”とやんわり却下して下さい。
・全体交流
漁場(海)が良い説
日本の周りの海が良いんじゃない?
漁法(漁師の腕)が良い説
とり方が良いんじゃない?
設備・港が良い説
鮮度を保つための工夫が良いんじゃないかな?
・まとめ
漁場や漁法などの工夫がありそうだな。
これから≪なぜ日本の魚は質が良いのか≫ということを順番に詳しく見ていこう!
漁場(海)が良い説
おそらく、漁場・漁法などの工夫で魚の質が良いのではないかという説を立てた。
・今回は『漁場』について考えていくことを伝える。
・ [世界の三大漁場]を提示して、日本周辺は世界でも有数の漁に適した海域だということを紹介
<どうして日本の周りの海は漁に最適な漁場と言われているのかな?>
・予想(オクリンク)
魚がたくさん居るんじゃない?
海に囲まれているから!?(いや、オーストラリアとか、他にも海に囲まれている国もあるけど…)
・調べる
寒流と暖流がぶつかる「潮目」⇒魚の種類が多い
(潮目の位置を確認させると、宮城県が一番近いことがわかって、食料生産のときの学習(水産業2位は宮城県)や太平洋側で水揚げ量が多かったことが残っている子には感動が生まれるはずです)
大陸棚⇒プランクトンが多い⇒魚があつまる
●つまりなぜ日本の周りの海は漁に最適な場所と言われているの
日本の周りには暖流も寒流もあること。大陸棚のためにプランクトンが多いこと。このことからたくさんの種類のたくさんの魚が集まるから。
(時間に余裕があれば・・・)⇒[お魚マップ]を提示して、魚の種類の多さを実感させる
・まとめ
日本の周りの海は、色々な種類の魚がたくさん集まる海。つまり、良い漁場が日本の周りにあるんだな・
・[お魚マップ]の東北地方を見て、獲れる場所の岸からの距離に着目して、魚によって取れる場所(漁場)が違うということを理解させる。(スライド1)
※このときに、課題作る前の発問(●漁法って何で使い分けると思う?)でミスリーディングを誘うために、「魚の種類が多い」ということを強調しておきます。
・漁業の3つの分類を紹介(スライド2~4)
※このときも、「“日本の近くに住んでいる魚”をとるときは沿岸で・・・」というように説明して、「魚の種類」を子供の意識への刷り込みを仕込むことで、次の発問(●漁法って何で使い分けると思う?)でミスリーディングを誘い易くなると思います。
沿岸漁業
沖合漁業
遠洋漁業
・今回は『漁法』について学習することを確認する。
・漁法の紹介([漁法の種類]提示(スライド5)http://61.199.163.171/soshiki/nourin/sshinko/files/osakanajiman-urabyoushi.pdf)
C:魚の種類!(ミスリーディングがうまく機能すれば、即答だと思います)
・もちろん、種類によって使い分けることもあるけど・・・
・[カツオ一本釣り]と[まき網漁]を提示して、同じカツオなのに、漁法を変えています。
<どうして同じ魚をとるのに漁法を使い分けるのかな?>
・予想(オクリンク)
漁場:漁場によって方法を変えているのでは?
量: 沢山捕りたいのか、ちょっとだけ捕りたいのかで変えている
能力:巻き網ができない人が一本釣りをしている
・調べる([漁法を分ける訳]を配布)
魚を買う人のニーズに合わせて漁法を変えているんだな。
※もしかしたら「一本釣り、すげー!」ってなる可能性があるので、その場合は以下の補足を伝えて「巻き網もすごいんやな!」と感じさせてあげて下さい。(全ての漁法には一長一短があって優劣はないので・・・)
補足1200mの網を使っていて、一度に1億円以上の水揚げをすることもあるらしいよ。
●違いはわかった。では、共通点は?
どちらも、できるだけ新鮮な状態で魚を届けたいという思いがある。
※5時間目の布石になるので、しっかり落としておく
・[かつおが回遊する範囲]を提示して、自分がかつお漁師なら、どこにとりに行く?
・季節によって場所を変える(7~9月なら東北沖。12月~1月ならインドネシア付近)
・7~9月に東北沖合でとった場合、どこらへんの港に向かう?(ムーブノートの赤ピン)
・12~1月にインドネシア付近でとった場合は?(ムーブノートの青ピン)
みんなのスタンプを集計した結果からわかることは?
みんな、漁場の近くの港に向かおうとするんだな。
●なぜそうするの?
近い方が「鮮度」がよさそうだから。
・実際の漁師はどうしているのか、見てみよう!
・何か感じたり、疑問に思ったことは?
・なんでほとんどのカツオ漁船が焼津港に行ってるんだろう?
<どうしてほとんどのカツオ漁船は焼津漁港で水揚げするのかな?>
・予想(港の設備・環境・立地などに分類整理)[オクリンク]
港が使いやすいんじゃないかな?
近くに良い施設があるんじゃないかな?
立地が良いのでは?
検証
立地条件
東名高速で東京や大阪、名古屋など大消費地とつながっている(資料p.11)
環境
港の周りに冷凍保存できる大きな倉庫がある
港の周りにカツオの水産加工団地がある
港の設備
水深の深い岸壁、クレーンやベルトコンベアーなども整っている
●大消費地が近かったり、カツオの水産加工団地があることは、「漁師にとって」どんないいことがあるの?
=たくさん買いたい人が居る⇒高く売れる可能性がある、売れ残りが出にくい
港の土地はかなり広大だ
人工的に作られた地面だ
・水揚げされた魚がどのように店に陳列されるのかということを紹介
①
水揚げ② 仕分け ③せり(卸売) ④仲卸売 ⑤トラックに積み込み ⑥店
(この工程でも鮮度を保つために努力をしているはず!)
<漁港には魚の鮮度を保つために、どのような工夫をしているのかな?>
・予想
素早く
冷やす
素早く
水揚げ施設のすぐ隣が卸売場だ。⇒近いから早く売ることができる。
仲卸売の施設を囲むように駐車場がある⇒トラックがたくさん待機できる
冷やす
氷を使っている
冷凍庫や冷蔵庫がある⇒鮮度
冷凍トラック
●≪なぜ日本の魚は安全でおいしいのかな!?≫
・プランクトンが豊富で栄養価が高い海
・漁師も漁港も「鮮度」を保つために色々努力をしているから
・まとめ
漁港にも鮮度を保つために素早く作業できたり冷やしながら作業したりの工夫がされていたな。
・[世界と日本の漁獲量]を提示
<世界の漁獲量が増えているのに、日本の漁獲量が1985年を境に減ってきたのはなぜ?>
・予想(オクリンク)(板書は「とれなくなった」と「とらなくなった」に構造化)
とれなくなった
漁師の高齢化
魚の減少
ほかの国の横取り
とらなくなった
売れなくなった
・調べる
とれなくなった
・排他的経済水域(200海里水域)
・魚などの資源そのものが少なくなった(環境悪化・乱獲)
・漁業従事者の人数減少
とらなくなった
・外国からの安い魚の輸入⇒売れなくなった
●排他的経済水域の設定は確かに漁獲量が減少した要因の一つだが、他の国も同じように設定されているのに世界の漁獲量は増えている。でも、日本だけが減っている。なぜ?
・とりすぎて魚が居なくなってしまったのでは?
・いくら「質」が良くても、やっぱり「安さ」には勝てなかったのでは?
・再検証([日本の魚が減っている!]を提示・配布)
・もともと日本が他国の排他的経済水域で漁をしていた
・とりすぎて魚が居なくなってしまった
・まとめ
排他的経済水域ができたり、乱獲で資源そのものが減ってしまったことが原因だ。
7.
・振り返り
魚を取りすぎたために、資源が減っている。
・資源を守るためには取らなければ良いというのが簡単な解決方法だが、実際は魚中心の日本食。そういうわけにはいかない。
<資源を守りつつ、でも私たちの食を支えるために十分な魚を捕るためにはどうすればいいのかな>
・考える
・検証
栽培漁業と養殖漁業というものがあるんだ。
(このときに養殖漁業の漁獲量が増加もしくは横ばいだということを確認しておく)
●世界規模で見ていくと、養殖業(栽培漁業を含む)は増え続けて、漁船漁業を抜いた。
これから先、漁船漁業と養殖業はどうなると思う?
・再検証用資料([今後の世界の漁業・養殖業]を提示)
養殖漁業は今後、<1>水質の良い水、<2>養殖適地、<3>十分な量・質の養殖用種苗と餌料が入手できるかどうか等が制限要因となり、世界の養殖生産量の増加のスピードはこれまでより落ちると考えられている。
漁船漁業は、技術的あるいは経済的な理由から養殖の対象とはならない魚種を含め多くの水産物の供給を担っています。さらに、養殖用餌料・飼料として用いられる魚粉の原料となるのは、主に漁船漁業で漁獲される多獲性浮魚類であり、漁船漁業なくして成り立たない養殖業種は数多くあります。
養殖漁業
<1>水質の良い水
<2>養殖適地
<3>十分な量・質の養殖用種苗と餌料 等
が制限要因となり、世界の養殖生産量の増加のスピードはこれまでより落ちると考えられているんだな。
漁船漁業
技術的あるいは経済的な理由から養殖の対象とはならない魚種を含め多くの水産物の供給を担っている上、養殖用餌料・飼料は主に漁船漁業で漁獲されているため、このまま減り続けるということはないと考えられている。
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