子どもたちに「人の話をよく聞きましょう」とか、
「反応しながら話を聞きましょう」など、”聞き方”について指導することってよくありますよね。





でも、よくある悩みとしては、
「よく聞きましょう」と言ったところで、子どもたちに特にこれといった変化が見られない。
「反応しながら…」と言ったところで、表面的には頷いたりしているけど、実際は全然聞いてない…
などではないでしょうか?





私も、昔はこの悩みを抱えていました。





そこで、どうしたら”ちゃんと”話を聞けるようになるのかということを
自分なりに考えたり、勉強したり、試したりしながら、研究を進めてきました。













そこで、5年かけて、とうとう結論に至りました。






今回は、その研究成果をこの場を借りて発表しようと思います。










章立ては以下の通りです。

1.「人の話はよく聞きましょう」と言っても変化が起こらないのはなぜか
2.「反応しながら話を聞きましょう」と指導すると表面的になってしまうのはなぜか
3.教師が執るべき本当のアプローチとは!?
4.子どもたちの「聞く力」をつけるための具体的な手立てとは!?






ということで、


1.「人の話はよく聞きましょう」と言っても変化が起こらないのはなぜか

それは、答えがとても簡単。

子どもたち自身は「人の話を聞くことは大切だ」という意識はあるんです。
でも、それがうまくできないだけなんです。

だから、「話をよく聞け」と言われたところで、
「わかっとるわ!でもできひんねん!」っていう状況になるだけっていうことなんですよね。

だから、結局変化がないんです。
もちろん、「僕、聞いてますよ!」っていう表面的なアピールはするようになるかもしれませんけどね。








それでは、

2.「反応しながら話を聞きましょう」では表面的だけで終わってしまうのはなぜか?



これは、「反応」をさせる目的を考えることで答えが見えてきます。



教師はなぜ反応をさせるのか。

それは、あくまでも「しっかり話を聞かせるため」ですよね。

つまり、「反応させる」っていうのは、あくまでも「話を聞かせる」ための手段なんですよね。



だからこそ、「反応しながら話を聞け」と指導してしまうと、
その手段が目的になってしまうため、

上っ面の反応になってしまうわけです。

だって、「反応」さえしていれば良いんですから…








それでは、

3.教師が本当に執るべきアプローチはどういったものなのか?




結論からいうと、「聞く時の意識のもち方」をしっかり教えてあげることです。

つまり、どのようなことを考えながら聞けばいいかっていうことです。




でも、「私、既にそれ、指導できてます!」っていう先生、たくさん居るのではないかと思います。



しかし、私はほとんどの先生の指導は以下の2つに分類されるのではないかと思います。


Aパターン:共感的に聞く指導

Bパターン:比較しながら聞く指導




でも、この2パターンの指導では、色々問題があると私は考えています。




では、Aパターンの共感的に聞く指導では何が問題なのか。


それは、「共感的」だからこそ、極端な話をすると何も考えなくて良いっていうことなんです。

どういうことかというと、
話をしている人は、聞いている人に納得してもらったり共感してもらったりすることを狙って話をしています。
つまり、そういう波を起こしているんです。

だからこそ、その波に流されてしまうのは簡単なんです。
ぼーっと聞いておけば、よっぽど変な話ではない限り、
聞き手は何を考えなくても、それなりに「ふ~ん」って納得できてしまうんです。

でも、これって全く聞く意味、ないですよね。





では、Bパターンでは何が問題なのか。


よくあるのが、「自分の考えと比べて…」という指導をする先生が多いですよね。


でもこれって、
似てる考えの場合は「あ!私と一緒だ!」という気持ちになり、
小学校1年生のような「先生!私を褒めて~!」という発達段階の子でない限り、
わざわざ同じような話を再びみんなの前で話そうというモチベーションにはつながりませんよね。




また、
違っていた場合、「あ!私と違う!」という気持ちになり、
話すとすると、「私は〇〇さんと違って…」という話し方になりますよね。

そうなると結局、色々な考え方が羅列的に出てきてしまい
授業が深まるというよりは、パンクするという状況を生みかねませんよね。





では、どうすれば良いのか


私がたどり着いた結論は、
多くの学校や多くの教師がやっていることと、
真逆のことを指導すべきだということです。



どういうことか…




「批判的に人の話を聞く」ということを指導するのです。

つまり、
「この人の話で質問したいところ/反論できるところはないかな?」という意識で聞くように指導するのです。
専門用語を使うと、”批判的思考力(critical thinking)"を十分働かせながら聞くように指導するのです。



ただ、子どもたちにこのまま話をしてもなかなか難しいので、

私は子どもたちには
「人の話を聞くときは『ん!?』って思うところを探そう」と話します。

実はこの「ん!?」っていう感覚が絶妙で、
「反論」が思い浮かんだときも「ん!?」って感じるし、
「わからんかったぞ!?」(質問したい)と感じたときも「ん!?」って感覚になりますよね。


そして、その「ん!?」を探そうとすると、
ちゃんと人の話を聞いて消化しないと絶対に生まれませんよね。





そして、「ん!?」を探しながら聞いても、
「ん!?」がなければ納得したということだし、
「ん!?」があれば、そこを突っ込んでいけば良いんです。




そうすると、授業中の話し合いがどうなってくるのか。

一人の話に対して、「ん!?」があれば、
その話についてどんどん突っ込みが入っていうことになります。
そして、その質問や反論に対して誰かが反応して…
という連鎖が生まれ、必然的に自動的に深まっていくことになりますよね。







では、その「ん!?」を大事にした授業を構成するための具体的な手立てとは!?

それは、授業中の「質問」や「反論」を大事にしていくことが大切です。

ただ、何も手立てがなければ、
誰が「質問」や「反論」をもっているのかがわからず、

せっかく授業中に発生した「質問」や「反論」が日の目を見ずに…ということになりかねませんよね。


そこで、
指サインを導入し、誰がどんなタイプの発言をしようとしているのかということが一目でわかるようにし、
さらに、「質問」や「反論」が優先的に発言できるようにするんです。



その考え方をベースにして、5年間かけて完成さえたのが以下の指サイン表です。
スライド1
スライド2
スライド3
スライド4




この上記の最終形の指サインにたどり着いたのが2年前で、

昨年度担任した6年生は、
2学期ぐらいになってくると、子どもたちの話し合いの中で、
子どもたちの中から自然と「深めの発問」が出てくるようになり、
教師がわざわざ「深め」なくても、自分たちで勝手に質問や反論を繰り返しながら授業を進められるようになってきました。
3学期にもなると、授業中の教師の仕事は課題を作るまでで終わり、
それ以降は「へ~!」「なるほどね!」など、適当に相槌を入れながら板書をしていくだけで、
勝手に授業が進んでいくまでになっていました。


また、今年度も6年生を担任しているのですが、
まだ2ヶ月しか経ってないため、質問や反論が未発達で、とんちんかんなものも出てくることがあり、
軌道修正をしてあげないといけないことも多々ありますが、
自分たちで授業を進めようという意識がうまれ、
家でもおうちの人に「自分たちで話し合いをしていて、授業がめっちゃ楽しい!」と話しているという話を何人もの保護者の方から聞きます。









ぜひ、このシステムを色々な学校や学級で取り入れてみていただけると嬉しいです。

また、この指サイン表の改良点や改善点などを発見された場合、教えていただけると嬉しいです。


よろしくお願いいたします。